PROJECT AMERICA of cruise-ok



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1999.8


毎年5万トン以上もの大型客船が次々とデビューを果たす空前のクルーズブームの中で遂にアメリカ人にとって待望の大型プロジェクトがスタートした。その名は“アメリカン・クラシック”。2005年、2008年に2船を、そしてそれ以降にさらに1船が加わりすでにハワイ海域へと配船されることが決定されている。
しかしなんと言っても注目すべきはそれが約40年ぶりにアメリカの造船所で造られ、アメリカのフラッグを掲げる客船であることである。
 さてそんなプロジェクトが現実のものとなった背景にはクルーズ産業の順調な成長がある。今のクルーズブームの発展を後押ししたのは俗にミニバブルと言われるアメリカン経済に追うところも少なくない。
ソビエトの崩壊やドイツの東西統合などを境とし経済は落ち着き、物質的にも精神的にもゆとりを持ったアメリカ人達はバケーションのひとつとして廉価なクルーズを選び始めた。
一方、政府による軍事費削減はかつて海軍中心の船を製造するアメリカの造船所を苦境へと追いやっていった。
(数年前に起こったハワイ沖合での潜水艦と日本の訓練船との事故は今も記憶に新しい。軍事費を確保しようと民間人達に見せた過剰なデモンストレーションがあの悲劇的な事故を招いたとも言われている)。 今回のプロジェクトを実現させたインガルス造船所も例に漏れず厳しい状況の中にあった。彼等は1958年のクルーズ船を最後にプレジャーシップから離れ、その後は貨物船、タンカー、海軍用の船の造船を中心とした造船所として生き延びていた。
「昨今のクルーズブームの到来は我々を刺激し、そのことは再び我々を客船造りへと駆り立てたのです。」 と今回のプロジェクトの責任者の一人でもあるテリー・モーガン氏は語る。 現在ヨーロッパの主要な造船所(クバナーマサヤード、メイヤー、フィンカティエ、アトランティック)は世界中から舞い込んでくる客船の造船依頼を受けどこも数年先まで予約でいっぱいであった。
ところが皮肉なことに世界のクルーズ顧客の大半はアメリカ人で占められ、また客船会社の多くがアメリカに本社を置かれていたのであった。造船費としてドルが海外に流出して行ってしまうことはアメリカ経済にとっても大きなマイナスだ。今回のプロジェクトには政府から強い後押しもあった。 
「実はコマーシャルシップ(商業用の船)の造船がアメリカで再びなされることについて、アメリカ政府はかねてより強く望んでおりました。」 とモーガン氏。
「アメリカ政府はここ数年の世界平和で軍事関連の需要が落ち込み、これからの新しい産業を造り出すことに強く迫られていました。」さらに「政府はアメリカンフラッグを掲げ、アメリカ人の従業員を乗せ、アメリカ国外をも含めたオペレーションをするコマーシャルシップに対し強い関心を示しております。」 1995年“プロジェクトアメリカ”いよいよ現実的のものとなる。そして1998年10月最終的に幾つかのプロジェクトの中から、“アメリカンクラシック”が採用され、そして彼等は“デルタクイーンスチームポート社”とパートナーシップを結ぶとともに、客船のデザインや技術的な資材の調達などのサポートとしてフィンランドの名門造船会社“クバナー・マサヤード”と契約を取り交わすこととなった。 さて実際“プロジェクトアメリカ”によってデビューが予定される客船がどのようなものになるのか見てみよう。
まず大きさは7万2000トン、乗客数は1900名、全長約2562メートル、そしてベランダ付きアウトサイドキャビンが多数設けられたラグジュアリータイプの客船となる。船内の雰囲気はアメリカ的でありながらも現代感覚が溢れたものに、また寄港地でもあるハワイの魅力が取り入れられた船内はそれ自身が乗客達をハワイに訪れたかのような気分にさせると言う。
エンターテイメントも同様である。ショーは通常のラスベガスタイプのものに加え本場のハワイアンショー等、ハワイの魅力により触れ合えるよう随所にユニークなアイデアが盛り込まれているのだそうだ。またこの客船が特に他の客船と異なるのはスタッフの中心にアメリカ人を置くことである。 
ハワイを訪れるツーリストがもしハワイ諸島の内の複数の島々へ訪れるとしたならば主に飛行機を利用することになる。しかし時間的なことを考えればそれはかなり大変なことだ。
彼等は7日間のクルーズを通しハワイ諸島の5つの港を訪れ、乗客達に4つの島に出会える機会を与えてくれると言う。「異なったハワイ諸島の島々をお客様方に居心地良くご覧になられるよう手助けをすること。」それが彼等の客船のコンセプトだ。 年間7百万人からなるツーリストの方々がハワイ諸島には訪れている。
彼等の2隻の客船にそのツーリストの約25万人が乗船してくれたならばビジネスとして成り立つのだと氏は言う。 彼等のマーケットとして考えているのはプレミアマーケット(高額所得者層)である。ハワイへ初めて訪れる方から何度も訪れてはいるがもっと満足感を得たいという方、またハワイ旅行のコンビネーションのひとつとしても客船を選んでくれる方々が彼等の主なマーケットである。具体的に言えばその中心となるのはアメリカ人とは言うもののハワイは我々日本人にとっても人気のディストネーションの一つでありアジアのマーケットに関しても今後関心を示していくと言う。
「このプロジェクトは今後アメリカでも優秀な客船を造れるのだということを証明し、アメリカの造船所にも再び活気を取り戻させるものなのです。」