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第19回シートレード・シッピングコンベンション(2003年 )
シートレード・シッピングコンベンションが今年もマイアミにて開催された。今回で19回目を迎える開催国でもあるアメリカ経済の不透明さもあり、会場は例年のような盛り上がりを欠いていたが、今年も新たに多数のアンテナショップが出展。客船業界関連者たちによるパネルディスカッションも行われ、今後のクルーズ界の展望について熱く語られた。
順調に推移する世界規模でのクルーズ人口
まず客船会社トップによるパネルディスカッションでは、2001年に起こった同時多発テロ以降の各社の近況が報告された。それによると客船会社は依然、テロ事件による影響が尾を引いているが、そのダメージを最小に留めたという。しかし、今後の新たな展開については皆、口は重く、結局最後まで明解な回答は得られないままであった。気になるのが今後の新造船の建造スケジュールである。しかし、これについてもほとんどの客船会社が以前と比べ消極的な姿勢を示していた。「我が社の場合、2~3年先においては、もうすでに現マーケットに対してのキャパシティーは十分確保しておりまして・・・」とある客船会社代表は答えている。現ユーロに対するドルの為替レートも彼らの新造船発注意欲を削ぐ要因となった。実際客船会社のオーダー数を比較してみると2001年が13隻であったのに対し、2002年はわずか2隻だ。これはピーク時の70%減となる。しかし、素人目にも今までのペースが異常すぎたわけで、いずれこの時が訪れるであろうことは誰もが予想していたのではないであろうか。これで新造船フィーバーはひとまず落ち着きをみせることとなるのだろう。ところで、北米におけるクルーズ人口を見ると、テロの影響を受けながらも一昨年の690万人から昨年は760万人に増加。世界規模でのクルーズ人口はさらに順調に伸び、前年と比べ15.5%増加したと発表された。また、クルーズ産業の成長とともに、乗客たちが訪れるディストネーションも拡大を続け、昨年、そして今年は多くの港が記録的な集客数をはじきだした。例えばメキシコでは、昨年客船で訪れた人の数は400万人以上、前年度の35%増である。またヨーロッパへ目を向けると北欧クルーズの人気からか、今夏のコペンハーゲンには初めて247隻の客船が寄港し、21万5000人の乗客が訪れるものと予想されている。イギリスは1999年から現在にかけ6%増。昨年は82万2770人のイギリス人たちが船旅を楽しんだことになる。さらにハンブルグでは、今年の乗客数は昨年の53%増と予想している。また新ターミナル建設に向けてのプロジェクトも次々と動き出している。まずロサンゼルスは約1800億円を投じる大規模な工事を予定。同じく西海岸のサンディエゴでは約120億円を投じて、身体障害者にもストレスなく、乗・下船ができ、大型客船も着岸可能なクルーズターミナルの工事が行われることになっている。さらにここ数年、人気を集めているアラスカにも二つの新たな港が建設される予定だ。こちらの方もその工事に約600億円の巨費が投じられる予定で、現地ツアーもこれまで以上に充実したものとなり、さらにダイナミックなアラスカクルーズが楽しめることになりそうだ。
高い評価を得た客船会社の環境プログラム
さて、今日のクルーズ産業全体において多大な影響力を持つインターナショナル・カウンシル・オブ・クルーズライン(国際客船評議会、通称ICCL)は、今後もセキュリティー(航海上の安全面)、セーフティー(緊急時における安全面)、エンバイラメント(環境面)をメインテーマとし、連邦政府と協力して新たに国際規模で効力をもつ規制を設け、客船就航エリアの人々により理解を深めてもらえるよう努めていくと明言した。実際、この数年にわたり環境面で関して各客船会社はかなりの理解を示しており、ほとんどの客船会社が海上規定のもと、独自に環境プログラムや政策を設けてきたことに高い評価を下した。また、昨年はノルウォークというウイルス性の食中毒が船内で続けて発生し問題となったが、当時ノルウォークはアメリカ国内全土に広がっており、発症数を見ても客船が取り立てて多いというわけでもないのだと疾病管理局のデーブ・フォスナー氏は説明した。「基本的なことですがスタッフも含め、乗客の方々は幼い頃、お母さんに言われたことを思いだし、ちゃんと手を洗ってくださいね 」と氏。
注目される船舶エンジンの改良と開発
ところでICCLに賛同した客船産業は数年前より特に環境面において注意を払い始めている。今年も数ある出展品の中から、運航する上での排出される有害な酸化物の発生を抑えたエンジン機器に話題が集中し、ゼネラル・エレクトリック社は早くから航空機で使用されているガスタービンエンジンに着目し、すでに多くのエンジンを船舶用に改良、市場に送り出し今やこの分野のスタンダードとなっている。それに続き市場に参入したのがロールス・ロイス社のガスタービン「MT30」である。現在、数度の試験運転を繰り返し、2004年初旬をめどに市場へ投入される予定だ。その潜在能力は気になるところである。また、今シートレードでは2000年に初めてアラスカクルーズの客船に搭載された、パワーリサーチ社の開発による「インテルメディエイト・フェル・オイル・トリートメント」(オイルフィルター)が紹介され、彼等の実績に改めてスポットライトが当てられた。
今年のシートレードは3月3日から6日にかけての開催であった。おりしもアメリカ軍がイラク侵攻に向け準備を整え、後は国連決議を待つだけという非常に緊迫した状況下でのことであった。各客船会社のトップたちの意向は、まず戦争の進展を静観し、それから具体的な方向を示していこうというものが大勢を占めていた。
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