SEA TREAD-2002 of cruise-ok



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2002.8 

第18回シートレード・シッピングコンベンション( 2002年 )

ハードもソフトも最重要テーマは『セキュリティー』

クルーズ産業は回復へ 
初日のセッションでは実際にテロ以降の各クルーズ会社の対応、そして現状がそれぞれのトップたちによって報告された。 CLIA( クルーズラインズ・インターナショナル・アソシエーション)による「ルネッサンス、アメリカンクラシックボエジャ社の2社が、市場からの撤退を余儀なくされたものの、客船会社各社はどうにか窮地を脱して回復に向かっているようだ。」という報告を受けノルウェジャンクルーズラインのプレジデント& CEOのコリン・ベチ氏は「航空会社やホテル業界など、他の旅行業界が依然市場の低迷に苦しんでいる中、クルーズ業界が我々の予想を遙かに上回る早さで回復し改めて今のクルーズ産業の市場の強さを実感している。」と近況を語った。さて各客船会社のクルーズ料金の早急な値下げは、結果的には市場を立ち直らせる要因ともなったのだが、そのことについてカーニバルクルーズライン社長でもあるボブ・ディキンソン氏「価格設定の柔軟性において、クルーズ業界は他の旅行業界の先を歩いております。我々は日頃から状況を見て速やかに価格修正をすることに慣らされているのです。クルーズ産業のそんな特異性が、今回良い形で現れてくれたようです。」と説明した。ところでクルーズ産業はカーニバル社の客船のみならず、傘下のホーランドアメリカ、ウインドスター社共々今月1月に入り予約実績を塗り直し、改めて市場は“バケーション ”としてのクルーズに注目し始めているようだ。ロイヤルカリビアン、プリンセス社など、他の客船会社の販売状況も昨年の同時期を大きく上回り順調である。もしこの状態が続くならば、アメリカ国内での総乗客数は750万人の大台に届くのではと言うのが業界関係者たちのもっぱらの予想である。

クルーズ産業に新セキュリティー基準が
テロの教訓を受け、当然のように市場そして業界にはセキュリティーの強化を求める声が強くあがった。それを受け近くクルーズ産業はIMO(国際海上協会)、アメリカ港湾委員会などの協力を得て、国際レベルで機能するセキュリティー基準を設けることを決定した。また現在アメリカの各港はまもなくセキュリティー強化として、運輸省から9億3300万ドル(約1200億円)の補助金を受ける予定にあり沿岸警備隊、US海事事務局がそれにあたることになる。

ブラックボックスがいよいよ市場に登場
今シートレードの大きな特徴は、例年以上に明確なコンセプトを備えたハード、ソフトが、数多く出品されていたことだ。現在のクルーズ産業の隆盛を、最もハッキリと象徴していたのが、ヨーロッパを代表する各造船所のブースだ。なにしろ今年1年間にデビューする予定の客船は、約15隻、今後2005年までに約50隻もの客船が市場に姿を現すことになっている。今回特に注目されていた機器、そしてプロジェクトの幾つかを紹介する。RUTTER社が開発した“VR-100 ”はわかりやすく言えば航空機に搭載されるブラックボックスのこと。と言ってもシステムの機能はまったく異なり、例えば出港した港からどのようなスピード、進路で、またエンジンコントロール、当時のレーダーの状況、そして音声など、出発時の情報がほぼそのままにプレーバックされるといった超優れものの機器である。システムを大まかに説明すると、航海データは一旦ホワイトボックス内のシステムにインプットされその後オレンジ機器(ハーデネット・ストレージ)に送り込まれるようになっている。データは約30日分保存でき6000メートルの水深に、そして1100度の高熱にも、1時間耐えられるようになっている。またVDR-100は、IMOによって2004年1月までに、すべての客船が搭載を義務づけられることになった。“A-PASA ”で知られるセキュリティーシステムを客船に供給するシスコ社は、陸上の世界では既にその信頼の高さは実証済みだ。客船の世界に参入しまだ日が浅いものの今やほとんどのメジャークルーズ会社の船内でそのシステムを目にするというように、完全にこの世界のスタンダードとなりつつある。思いがけぬ昨年の事件以来、各客船会社はセキュリティーに今まで以上に予算を設けるようになったことで、その需要はますます増えているという。今後は精度を高め近く海外へもオフィスを置くことも検討中だそうだ。 ロールスロイスの名を知らない方は少ないであろう。実は船舶の世界でも良く知られており現在、客船を含めポッド、スクリュー、スタビライザー、エンジンなどあらゆるタイプの機器を供給している。中でも排気の少ないガスタービンエンジンはクルーズ産業では現在最も注目されている機器だ。彼らはもともとこの分野においての歴史は古い。我々が知るところではボーイング777に使用されているエンジン(TRENT800エアロエンジンの改良型)は、すでに客船市場に出て使用されている。さらに改良を加えパワーアップしたTRENT30エンジンが、2004年初旬を目安にデビューが予定され今市場からの熱い視線を浴びている。 客船誘致に積極的に名乗りを挙げる世界の港 クルーズ産業の拡大に伴い、ここ数年客船誘致に世界中の港が積極的に名乗りを挙げている。なぜなら客船誘致は港ばかりではなくその周辺地域社会に及ぼすメリットも非常に大きいからだ。各客船会社がここ数年ヨーロッパエリアに目を向ける傾向にある中で、米国の西海岸全体が客船誘致に向け今大きく動き出そうとしている。サンフランシスコ港は向こう60年の長期にわたりカリフォルニア州の土地を市と港で借り受け、民間の協力を得、今までの港にはない複合施設を備えた港プロジェクトを進行させている。現在サンフランシスコにはあのフィッシャーマンワーフに近いロケーションに港があるものの、ここ数年、年間約45隻もの客船と8万人の乗船客を受け入れさらに拡大する乗船客の数に対応してのことだという。完成は2005年の予定で総工費には4億5000万ドル(約600億円)が投入されると言われる。完成のあかつきには約300メートルと約250メートルまでの客船を受け入れられるバースを2つ備え、カフェ、レストラン、オフィス、公園などを持った美しい港となる予定だ。ICCL( 国際客船評議会 )の発表によると、2000年度1年間でアメリカ国内にクルーズ産業がもたらした収益は179億ドル(約2兆3000億円 )。クルーズ産業は今やアメリカの経済においても重要な産業へと成長しつつある。昨年度のテロ事件は業界全体にとっても苦しい経験であったが、反面、業界にとっても市場を冷静に見つめ直す貴重な経験ともなったはずだ。我々に夢を与えてくれるクルーズのために業界全体が早く落ち着きを取り戻してくれることを願ってやまない。