SEA TREAD-2001 of cruise-ok



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2001.6 

第17回シートレード・シッピングコンベンション(2001年 )

21世紀クルーズ界の大きな幕開け クルーズライン・インターナショナル・アソシーエーション(通称CLIA )は、今年2001年には11隻の客船が市場に登場し、それを受け、今年度は約700万人ものアメリカ人がクルーズを体験するであろうと発表した。加えて、昨年度の客船が備えるベッド数が前年に対し11%増加したことを上げ、客船産業は確実にそのマーケットを拡大していることを明言した。その中でマイアミビーチにあるコンベンションセンターにて開催された今コンベンションには、昨年を上回る1000を越す会社と100ヵ国以上もの国々が参加し、8日までの4日間に会場には業界の主要関係者たちも多数顔を合わせ熱気で包まれた。

コンベンション初日は、テーマとなる「クルーズシップ 」セッションの中で、インターナショナル・コンサール・オブ・クルーズライン(通称ICCL )はメンバー達の承諾を得次第、乗務員、乗客のための新たな海上規定を設けるであろうことを発表。その趣旨とは客船産業が業界を含め他産業、地域にいたるまで多大な経済効果を及ぼしていることを指し、今後のガイドラインを設けることでさらなる発展、促進に努めるというものだ。( 安全 ) ( 保安 )( 環境 ) ( 医療施設 ) ほか7つからなるテーマに具体的規定が設定され、実際に承認を得られればそれを今後の世界基準としICCLがそれらを監視するものと発表している。メンバーには客船会社ほか客船産業に携わる企業の経営者などが参加、現在スタートに向けさらなる賛同を募っているところだ。そんな状況を背景としてか今年のコンベンションは環境、安全をテーマとする出展、セッションが多数設けられ業界関係者たちの関心を集めた。
北米を中心とした客船産業の驚異的な伸びはアメリカ、そして他国の港からの参加も促進し、会場ではそれぞれの出展者たちの誘致における並々ならぬ姿勢が感じられた。中でも港関係者たちが多数参加したセッションでは、各大手客船会社の代表たちが特別スピーカーとして招かれ「将来のホームポートとして、または寄港地としての客船会社側から見た魅力的な港 」をテーマとしたセッションでは、多くの質問が飛びかいその関心の高さが伺えた。その中で客船会社側は、( 乗客の乗下船を含めた設備の充実 )、( クルーズオペレーションを拡大する良きパートナーであること ) 、( 低額な港使用税 )などを条件に掲げ、近年のベストパートナーの好例としてパナマ港の名を上げた。また「フューチャー・セーフティー・オン・ラージパッセンジャーシップ 」( 将来においての大型客船の安全面 ) のセッションでは 客船デザイナーとしても知られるジョン・マクニー氏が、現在の客船大型化にともなう問題点として、非常用救命ボートの設置位置における緊急時の着水の困難さなどを上げ「現在の客船の造船技術は年々めまぐるしい進歩を遂げているものの、必ずしも安全面においてそれが十分に満たされているものではない。」と明言。今後しっかりとした安全基準を設ける必要があり、新コンセプトとして特別グループによって安全面においての研究、改善を進める(クルーズセーフ)ことを提案した。
さて今コンベンションで特に客船業界が注目を持って迎えたのが、各種エンジンシステムだ。昨年夏に登場した客船ミレニアムには(グリーンシップ )をコンセプトに、初めてGEマリンエンジン社のガスタービンが搭載され話題を呼んだ。従来のディーゼルエンジンと比べコスト高になるものの、ディスティネーションに環境保護基準の高いバルト海、スカンジナビア(フィヨルド)などを予定していたため、結果的にいち早く導入に踏み切ることになったようだ。今後の風潮として、多くの客船会社が同様な理由から、極力排気の少ない環境に優しいエンジンを新造船に投入することを検討している。今年春にデビューが予定されるカーニバル社は、フィンランドのワルチラ社のスモークレス( 煙を出さない )ディーゼルエンジンが新造船カーニバルスピリットに搭載されることが決まった。こちらも従来のエンジンと比較し、コストがかかりオペレーション的な負担も少なくないものの、アラスカ、ハワイクルーズへの配船を考慮し、環境保護を最優先としてこのエンジンに切り替えた。またホーランドアメリカ社は、新造船5船にガスタービンを、そしてプリンセス社は両者を共に搭載する最初の客船となりそうだ。各種エンジンを扱う会社は、思いがけず大きなマーケットを獲得し始めたことによって、今後さらなる技術革新を求められ、本格的な戦いに突入することになりそうだ。今年は、R&Rの参加も見られた。 推進システムとしては、あいかわらずアジポッドを駆使するABB社の活躍はめざましい。前述したGEマリンエンジン社、ワルチラ社は推進システムを含めたパッケージ販売も行っているため、思わぬ伏兵に彼らの市場は脅かされる形となったが、カーニバル社、ロイヤルカリビアン社、コスタ社、スタークルーズ社などの依頼が数年先まで入り、推進システム、アジポッド・スタンダード化の流れは依然止むことがないようだ。 コミュニケーションシステムとしてインターネット機器の投入は、すでにこれからの客船のトレンドとなっている。インターネットのハード、ソフトを武器とした会社の参加は、さらに昨年を上回るものであった。今年より初めてブースを設けた、サイバーピックス社もそのうちのひとつだ。彼らの魅力は、そのコンパクトさと従来のインターネットに加え、船内の情報を容易に引き出しそれを有効利用できるという商品を提供していることである。例えばデッキチェアーに体をあずけ寛ぎながらもエステやダイニングの予約などが簡単にできるというものである。「船内でのインターネット利用に慣れた方々が我々のターゲットです。」と副社長のヒロコ・オサカさんは商品の説明をしてくれた。「今後のマーケットの変化を眺め登場のときを探っているところ・・。」と彼女。時間をかけ客船会社と今後どのように進めていくか検討中だ。 産業としてこの世界への参入は、異業種の会社にとってもますます魅力的なものとして受け止められ始めるようになってきた。客船ビジネスの裾野の広さを感じさせられた今コンベンションであった。 クルーズ・インダストリーニュースが発表したところによると、推定で2006年までに60隻を超える客船が我々の前に登場することになるという。船旅は、あらゆるタイプの人々に夢を与え、今日のクルーズ産業をとてつもなく巨大なものへと成長させてきた。しかしその反面、船旅を通し乗客は思わぬトラブルに巻き込まれることもしばしばある。また客船が及ぼす環境汚染なども大きな問題だ。今まで客船会社各社が自主的に設けていたルールが、巨大化した客船産業の中で、すでにその限界を超えてしまったように見えてきた矢先に登場したICCLによる世界共通のルールは、まさにクルーズ業界待望の規定であると言えよう。昨年の名門航空機会社コンコルドが悲惨な事故を起こしたことは我々の記憶に新しい。それは、それがたとえどんなに優れものであっても、たった一度のアクシデントで致命的ともいえるほどの信用を失うことを我々に教えてくれた。 21世紀の幕開けとともに今、客船業界全体は大きなステップを踏み出そうとしているのである。