|

野球やバスケットボール、そしてフットボール等スポーツの盛んなアメリカではシーズンが始まると話題の中心はそれらスポーツのことになる。特に大きな試合の時など町中から人影が全くと言ってよいほど消え去ってしまうほどだ。
TVを前にジャンクフード、ビールを片手にソファーに寛ぎ友人や家族と観戦するのが典型的アメリカ人のスタイルである。
もちろんそんなシーズンともなれば彼等はクルーズどころではない。
実際大事な試合の時には確実に乗客も減少するのだから乗客を客船に繋ぎ止めるために客船会社も必死だ。
そこである客船会社が考えたのが各種スポーツ協会と契約しオフィシャルクルーズとなりスポーツファン達に客船に対する今までのかたいイメージを払拭させることであった。
例えば有名なスポーツ選手をゲストに招きファンとの交流を深めたり、またパブリックスペースにスポーツバーを加え何台ものTVから24時間体制でスポーツ番組が流された。
これによりクルーズ中でもスポーツ観戦を見逃すことのないことをアピールした。意外ではあったがこの企画によってクルーズ業界は新たなマーケットの掘り起こしに成功した。
今やほとんどのアメリカ系客船達が同様なプログラムを設けているが、もともとこの企画を最初に導入したのがノルウェージャンクルーズ社(以後省略しNCL)であった。
さてそのNCL社の客船で働くジョニー・ラバニエゴス氏は自身も熱烈なスポーツファンであることからか客船のスポーツコーディネーターからクルーズ・ディレクターに抜擢された異色のディレクターである。「スポーツはプレーするのもまた観戦するのも大好きです。
私の住むマイアミは野球、フットボール、バスケットボール、それにアイスホッケーのメジャーなプロチームがホームを置きとてもスポーツが盛んなのですよ。」休みの時にはフットボールやアイスホッケー以外友人達とプレーを楽しみ汗を流すのだと彼は言う。
「またNCL社が各スポーツのオフィシャル・クルーズラインということで特にアメリカ人のお客様方の多くはスポーツファンの方々ですので、私も特にシーズン中各チームの試合状況は目が離せません。ちなみに次の日曜日は我が客船はバレーボールのテーマクルーズになっております。
プロのメンバーを実際にこのクルーズに招き、各種トーナメント・プログラムが用意されております。」 彼がディレクターを務めるクルーズに乗船した時に驚かされたことであった。乗客達は夕食を終えるとショーの開演時間に合わせ劇場へと足を運ぶのだが、クルーズディレクターでもある彼がステージに登場し最初に語ったのがショーの内容ではなく今まさに進行中の試合内容のことであった。
「ついさっきまで劣勢であったチームが逆転し尚も攻撃は続いております・・・。」と彼が興奮交えて報告すれば、一瞬劇場にざわめきが起こりそして大きな歓声に包まれた。今までにたとえ素晴らしいショーを観た後であっても観客からこれほどの反応を得たことがあっただろうか・・。
ジョニー・ラバニエゴス氏はクルーズの世界で働き今年で8年目(現場にて)を迎えた。両親が旅行関係の仕事に携わっていたことから彼も幼い頃からクルーズに何度か乗船したことがあった。
その時の体験が将来はクルーズの世界で働いてみたいという憧れを彼に抱かせたと言う。
ニューヨークで生まれ、フロリダ州立大学ではマーケティングを専攻していたことから、彼は一時ある客船会社でマーケティングレプレゼンダティブに関する仕事に就いていた。
しかしその頃の彼は子供の時の夢が忘れきれず、またオフィス仕事にやるせない思いを感じていたと言う。
ロイヤルクルーズ会社(NCL社の姉妹会社で高級ブランド)への再就職は彼にとっての大きなチャレンジであった。
そこでは今までの事務仕事とは180度異なるクルーズスタッフ・スポーツコーディネーターに就いた。
その後アシスタント・クルーズディレクターを経、クルーズディレクターとなった。そして1998年1月にNCL社へ移る。当時のNCL社の方向性と、また成長し続けるこの会社同様私も大きなステップを望んでおりました。
私個人としましてもNCL社の従業員への待遇は業界の中でも私が知っている限り一番良いものではないかと思っております。
このことは我々従業員にとっても非常に大切なことなのです。
基本的にはクルーズディレクターは、すべてのエンターテイメント、アクティビティー、プログラムの中で重要な一つのクルーズニュース、ディリー・インフォメーション、スポーツ・アクティビティなどを統括する責任者でもある。
彼の下には12名のスタッフがおり、皆がプロフェッショナルな自覚を持ちそれぞれのプログラムをコーディネートしている。彼の場合3ヶ月乗船し、4~5週間の休暇。
これを繰り返すのであるが休暇中はエネルギーをできるだけ蓄えられるよう努め常にリラックスして過ごすと言う。
「クルーズスタッフというのは仕事中皆それぞれがバットムード(良くないムード)の日は持ってはなりません。またいつも元気でハッピームードの精神を失ってもいけないのです。
と言いますのは乗客の皆さんは日常の生活からエスケープ(逃避)するために、クルーズ料金を支払っているのですから、私たち笑顔を投げかけなければ皆さんも笑顔を投げかけてなければ皆さんも笑顔になってはくれないからです。
これは我々にとりまして大切なことのひとつです。」 彼の仕事で重要なこととは乗客の方々がバケーションを楽しんでいただくこと。
「私自身にとっての最終ゴールというのはお客様方に最高のサービスで100%満足をしていただくことなのです。
そしてお客様方が日常生活も、仕事もすべて忘れ少し異なる生活をしてもらうことなのです。
日頃やりたかったことをなさって誰からも押しつけられず、そして『楽しかった』と握手されたとき、私の仕事は完了なのです。
『まさに私にとってもホームランを打った気分といえましょうか。』」 一昨年(1998年)7月に彼は結婚した。次の休暇には彼女とアカプルコか、コズメルに1~2週間位滞在し、ダイビングをしたりして、ノンビリ過ごすことを楽しみにしていると言う。
クルーズディレクターを通し彼が出会った心に残る出来事とは、あるゲームで60人の乗客が女装で参加したときのことであったと言う。「あの時は壮観でした。
彼らは皆奥様同伴のとてもいい方々ばかりでしたが、職業も銀行員の方々からフットボールのコーチなどまちまちでしたが皆さんまじめに女装なさる姿には観客の方々とも大変笑わせていただきました。」
将来のクルーズ産業をどのように見ておりますか?
旅をするのにクルーズというのは最良の手段であると思います。良いサービスに、おいしい料理、またとてもリラックスができ、料金の方もそれほど高価な訳ではありません。
そのようなことを見ればクルーズには総合的な旅のパッケージをすべて含んでいることがわかるでしょう。
海の素晴らしい風景も含めて・・。
私はクルーズの世界で仕事をしているのでプライベートの旅でクルーズに乗ることはありませんがいつも航空券やホテルのことも自分でせねばならないのですが、クルーズではそれが一つのパッケージになっているので何も気にすることはありません。
クルーズは今後陸上のパック旅行同様ひとつの旅の形として定着し、これからも多くの方々に楽しんでいただける旅となるでしょう。
|