LONDON of cruise-ok



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1999.12


船内に一歩足を踏み入れれば我々を迎えてくれるのが船内をエスコートしてくれるスタッフ達である。
しかしそれ以上に我々を感動させたのが広大なアトリウュムとそこに飾られる目を奪わんばかりの美術品達だ。
船体デザインが客船の外の顔であるならばアトリュムは今や船の内なる顔といってもよいほど各客船会社はそこに力を注ぎ始めている。LO01.jpg
それも手伝ってか彼等のデザインを一手に任されるデザイン会社は今まで以上に注目され始めている。
 船内アートのスペシャリストのひとつとしてその名が知られる“ロンドン・コンテンポラリー・アート社”はようやくビジョンシリーズ(ロイヤルカリビアン社のスプレンダーオブザシーズなど全6隻)の仕事を終え、次にデビューする世界最大の客船イーグルシリーズ(ボイジャーオブザシーズ・エクスプローラーオブザシーズ)の3船に着手しているところであった。
彼等の仕事は、主に客船内の各パブリックスペースにマッチした美術品の選考や購入、制作、そして設置など企画から最終的な搬入までを担当し、また時としてパブリックスペースの設計やデザインのために優秀な建築家やデザイナー、各造船会社などの手配もしている。 
マイアミオフィスは本社(ロンドン)にある世界最大のアートプリント会社の専門部門、「出版」、「アートギャラリー」、「アートオークション」、「アートコンサルタント」の内のアートコンサルタントを担当し、独自のプログラムによって新旧の客船に至るまで携わっている。
彼等がパブリックスペースを種々のアートで飾ってきた客船にはキュナード、クリスタル、セレブリティ、カーニバル、ラディソン、シーボン、ロイヤルカリビアンなどそうそうたる客船会社がその名を連ねている。 
彼等は客船会社が求めているものを的確に表現できるアーティストを揃え、 実際作業を進行する中でアーティストがどのようなアートをスペースへと飾り付けるか、また建築家やデザイナーがどのようにそこをデザインしていくのか。
そしてクルーズ会社が客船のコンセプトをどのように建造していきたいのか、常に彼らのそばにいて理解に努めなければならないと言う。
例えば、もしその場所に客船オーナーがドラマティックインパクトを求めるナイトクラブ的なものを求めているならば、彼等は客の感性を刺激的にさせるため金属的質感を持つ彫刻や、ペインティングなどを効果的に用いるといったように・・・。
彼等は時にアーティスト達がアイデアに必要なアートワークのための素材の改良と、そのプロジェクトのためのオリジナルコンセプトのレイアウトについての手助けも行う。
作業が進行している上での彼等の役割とはアーティストとオーナーの間に入り、スムーズにそれらを進行させること、コミュニケーションはマーケティングアイデアとともに重要なキーでもあると言う。
彼等が作業する上で心掛けていることは、アートギャラリーを船内に創造するのではなく、客船の乗客層を考慮に入れ、依頼主が描いているビジョンをコンセプトとしアートを提案せねばならないということだと言う。LO02.jpg写真をクリックすると拡大表示されます。
また、ロイヤルカリビアンのシリーズのようにそれぞれが異なったテーマを持たされていながら、それらの客船同士が共通の雰囲気を備えていなければならない場合もあると言う。
例えば、ニューミレニアム(2000年)がそのコンセプトとなるボイジャーオブザシーズには「ワールド・ヒストリー」といったサブテーマがあり、そのため各デッキはゴシック調やルネッサンス、アールデコといった異なったアートスタイルで表現されている。「クルーズを通し世界史の探索を楽しむことができる客船」をとは客船会社側の要望だ。一方、2船目にデビューするエクスプローラーオブザシーズのサブテーマは「ワールド・アートカルチャー」。
それぞれのデッキは異なった大陸の文化、芸術、環境などそこでは7大陸の旅が堪能できるようになっていると言う。
彼等は客船会社オーナーの要望に応え両客船内フロアをひとつのステージとした。
そしてそれぞれを彩るアート類を客船のサイズ同様スケールの大きいものとした
。 客船のためのデザインアートというのはホテルや他の建築物内のデザインとは違ったデザインの難しさを要すると言う。
なぜならばホテルはけして動くことはないからだ。
航海中、客船は常に縦横に揺さぶられている。そのことも考慮に入れ、デザインを決めて行かねばならないのだそうだ。また、エンジンのバイブレーションなどもデザインアートにとっては、時にはやっかいな問題だと言う。 現在クルーズマーケットは非常に競争力の激しいものとなっている。
各クルーズ会社も成熟した市場の中で多種多様なリクエストを求める乗客のために常に競争を強いられている。
その第一が料金、2番目が今まで育ててきた“ブランド”と“イメージ”だ。言いかえれば、乗客は堪能できる船内の気に入った設備とサービス同様、そこにそれ以上の魅力を見いだそうとしているのだと言う。
例えば今関わっているロイヤルカリビアン社は、客船により以上の価値を見いだすことを望んでおり、アートワークが客船会社のアップスケール・イメージをお客様に知って頂くための戦略上のひとつのアプローチと信じているのだそうだ。
「なぜ約10億円という巨費を投じ、他の客船よりアートワークを多くニューシップに備え付けたのかはそれを見ればおわかり頂けるのではないでしょうか。」と代表のジョアン・ブイラックマンさんは言う。
クルーズ産業の変化は誰もが予想だにせぬものである。
彼等がここマイアミオフィスをオープンさせた7年前は主にもっと小さな客船のための船内改装の仕事をしていたと言う。
それが現在のようにメガシップの依頼が入ってくるというように、ここ数年のクルーズシーン全体が大きく変化しつつあるのだそうだ。
最近NCLのニューシップ、ノルウェージャンスカイの依頼の他、アメリカンハワイクルーズからもアートワークの入れ替えの話もきていると言う。
クルーズ産業は多くの人々に注目され、寄港地のほうも広範囲にわたり広げられている。
「この成長は将来において我々に何千ものアートワークのチャンスを与えてくれることでしょう。
クルーズアートはそれ自体が独立したアートなのです。」とジョアンさん 。彼等のビジネスのさらなる躍進を期待したい。