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2000.12
船旅の最大の魅力は都会の喧噪から抜け出し、日常とはかけ離れた世界へと逃避させてくれること。中でも乗客達がおもいおもいのタキシードやドレスに身を包み集うフォーマルナイトの体験は船旅の醍醐味を肌で感じさせる時でもある。
ところで常々感心させられるのがアメリカ人の乗客達が若者からお年寄りまで実に上手にそれらを着こなしクルーズを楽しんでいるかということである。
聞けば男性客のその多くはレンタルによるものだと言う。
クルーズ人気の高まりは彼等のニーズにあったユニークなビジネスを誕生させているようだ。
今回は客船フォーマルウエアのレンタル専門店を営むフローティング・フォーマルズ社にインタビューをした。
フローティング・フォーマルズ社がレンタルの商品として扱っているのは男性用タキシードやボウタイ(蝶ネクタイ)、そして靴などの他女性用フォーマルブラックドレスやスーツ、またウェディング用に新郎のテールコート(燕尾服)やデザイナーコートなどがある。特に男性用タキシードは彼等の主力商品となるのだそうだ。その数毎週ざっと500~千着のペースで回転しており、常に欠品が出ぬよう数千単位のストックを取り揃え管理していると言う。
彼等曰く、アメリカ人の多くが成人する以前にタキシードを身につけることをすでに経験しているのだそうだ。
例えばハイスクール主催のダンスパーティーがそれだ。学生達は積極的にタキシードでドレスアップしパーティーにのぞむと言う。ここ数年乗客の年齢は年々若返り傾向にある。
「むしろ船内パーティーにフォーマルウエアを着る習慣は若い人たちから広まっているのではないでしょうか。」とマニー・ピエドラ氏は分析する。
各客船会社は洋上の5スターホテルを目指すため、客船の品質向上に努めていると言う。このことは乗客に今まで以上のドレスアップを望むことを意味していることだと氏は語ってくれた。現在平均すれば、アメリカの寄港地いかんにかかわらず男性客の6~12%が彼等のサービスを利用していると言う。
中には意外なのだが、そのうちの約10%は自身のタキシードを持っているにもかかわらず、持っていくことを嫌い彼等の手軽なサービスを利用するのだと言う。
レンタルサービスに対しての乗客達の反応は良いようだ。
そんなこともからも年々彼等への依頼は増えていると言う。彼等のことは口コミや旅行会社、旅行業界の会議、雑誌などに紹介されその名を知るのだと言うものの、なんと言ってもクルーズリピーターが順調に育ってきていることは彼等にとっては大きなことだ。 さて実際レンタルまでの流れを簡単に説明しよう。
まずオーダーフォームは各客船会社の船の出航前にクルーズチケットと共に届けられる。客はそれに自身の体のサイズを明記し、郵送もしくは料金無料の電話、またはインターネットを通し申し込むこととなる。
一連の流れはコンピューターによって管理されクレジットカードでの決済後、それらとそれに合わせたアクセサリー類が詰められたバッグは客船のホテル部門に配送され、そしてスチュワードによってそれらはキャビンに届けるようになっている。
クルーズ終了後、客はスチュワードにそれらを渡しその後港で彼等に返却されることとなる。
フォーマルウェアレンタルの仕事に携わり約30年の実績を持っていた彼等が本格的に客船を相手にビジネスをスタートすることになったのは彼の息子でもあるマニー・ジュニア氏からの提案であった。
当時彼は人気テレビシリーズ“ラブボート”の中でゲストが皆タキシードでドレスアップするシーンを目にし、彼らがどこでタキシードを揃えたのかと言った疑問を持ち始めたことから、大学卒業後、私に客船の世界への進出を提案したのであった。
氏は実際本格的に客船相手のビジネスに携わるに前に、何度か客船会社からの依頼を受け感触を掴んでいた。
フローティング・フォーマルズ社は現在NCL、カーニバル、プリンセス、コスタ、そしてプリメラなどにもビジネスを展開し、マイアミ、エバーグレース、カナベラル、タンパ、サンファン、バンクーバー、カリフォルニア、ニューヨーク、ボストンなどの港でサービスが行われている。
また1999年にはヨーロッパのちょうど真ん中あたりに位置するベニス(イタリア)に彼等のオフィスが置かれ地中海エリア、そしてヨーロッパ広域にわたりサービスを展開しているところだと言う。
フローティング・フォーマルズ社が本格的に客船業界に進出し約10年。 彼等は新たなビジネスの展開を模索している。
そのひとつが客船会社が新たに始めるウェディングパッケージをサービスのひとつに加え始めたことへの彼等の可能性である
。 また客船のディスティネーションの多様な変化に伴い、今後北大西洋エリアそしてアジア、オーストラリアの港へも進出して行くことも計画中だとのこと。
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